国交省/CCUS能力評価「多能工」の基準検討、土木分野で24年度策定めざす

国土交通省は、建設キャリアアップシステム(CCUS)の能力評価基準として「多能工」を適切に扱うための検討を本格化する。複数職種を横断的に担う多能工が技能に応じた適切な賃金を得られる環境を整え、CCUSのさらなる普及につなげる。まずは土木分野を対象に建設経済研究所が実態調査を実施。公共土木工事を担う建設会社に調査協力を依頼する。2024年度にも新たな能力評価基準を策定したい考えだ。建築分野も24年度から検討する。

現状のCCUSは分野が異なる複数の技能を横断的に評価する基準がなく、多能工の能力を適切に評価できていない。国交省の「持続可能な建設業に向けた環境整備検討会」では、多能工の評価指標の乏しさがCCUS普及を妨げているとして、活用メリットに見合うインセンティブの付与を求める声が上がっている。

国交省は多能工の適切な処遇を確保するため、土木と建築の両分野に基準を策定したい考え。まずは土木分野から検討に着手する。建設経済研が公共土木工事を担う地場ゼネコンを対象にアンケートを行い、多能工の実態を把握する。

建設経済研の調査は10~20日に実施。対象は▽宮城▽栃木▽岐阜▽滋賀▽島根▽高知▽徳島▽宮崎▽鹿児島-の9県の建設業協会。CCUSへの理解が深く、公共土木工事で導入が進んでいることから選定した。直営班を抱える元請企業などを中心に計200社程度から回答を集める。

調査では▽多能工が担う職種や頻度▽各レベルに望ましい経験年数▽レベル3以上に望ましい職長・班長としての経験年数▽各レベルに必要とされる資格や免許-などを聞き取る。職種はCCUSの分類単位である55グループ、293職種の中から選択してもらい分布状況を確認する。

調査結果は年度末までにまとめ、評価基準の検討に活用する。新たな評価基準の策定主体は未定。各専門工事業団体や建設技能人材機構(JAC)などを想定している。


【建設工業新聞  10月 12日 1面記事掲載】

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