労働局、建災防東京 死亡者急増で緊急会議

厚生労働省東京労働局と建設業労働災害防止協会東京支部(建災防東京支部)は9月7日、建設業死亡災害の急増に伴う緊急連絡会議を開いた=写真。7月から8月初旬にかけて熱中症や墜落などで6人が死亡したことを踏まえた対応で、東京労働局が発生状況や傾向、労働災害の防止に向けた留意事項などを挙げて対策の徹底を求めた。また、建災防東京支部が分会の自主的な安全衛生活動などを説明して関係者間で取り組み状況を共有した。

 管内の今年の建設業死亡災害は6月末まで3人にとどまっていたものの、7月~8月10日のおよそ1カ月に6人が命を落とした。前年同時期の2人に比べ3倍で、事故の型別内訳は「高温、低温の物との接触」(熱中症)が3人、「墜落、転落」と「倒壊、崩壊」、「おぼれ」がそれぞれ1人となっている。

 東京労働局は7月以降の死亡災害について、基本的なルールを守らなかったり、安全性の十分な検討をせずに作業を行ったりしたため発生したと分析。現場全体の「安全に対する意識」や「安全管理能力」の低下が懸念されることから、8月16日に建災防東京支部に対して労働災害防止対策を徹底するよう緊急要請していた。

 東京労働局の角南巌労働基準部長は会議の中で、9月1日時点で死亡者数が10人になったことも明かしながら「憂慮すべき状態だ」と指摘。緊急要請に掲げた▽死亡災害を発生させない旨の決意表明▽安全衛生管理活動の活性化▽墜落・転落災害防止対策の徹底▽安全衛生教育の実施▽暑さ指数に基づく管理と状況に応じた休憩―の留意事項を唱えつつ、労働災害を減少させるため「建災防東京支部、各分会、東京労働局、各労働基準監督署が一体となって取り組んでいきたい」と述べて協力を呼び掛けた。

 一方、建災防東京支部の塚田泰三副支部長は、緊急要請の周知や安全衛生パトロールの強化などを通じて「もうこれ以上、死亡災害を発生させないよう労働災害防止活動をさらに進めていきたい」と決意を語った。

2023/9/7建通新聞電子版

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